ユナイテッドアローズの春の別注は、「色出し」にこだわったインナーキルティング

ユナイテッドアローズの春の別注は、「色出し」にこだわったインナーキルティング

ユナイテッドアローズの春の別注は、「色出し」にこだわったインナーキルティング

ラベンハムを取り扱っているショップやブランドは、ラベンハムのどんな部分に魅力を感じているのか。今回はセレクトショップ、ユナイテッドアローズのバイヤー、豊永譲司さんが2回目のご登場。この春の別注[ALDHAM(アルドハム)]についてお話をうかがいました。

英国ブランドなのに、日本人に似合う服

ユナイテッドアローズでバイヤーを務める豊永さんは、普段から仕事のために情報収集やリサーチをしているそうで、その中でラベンハムについても色々調べているそうです。
「常々ラベンハムについて感じているのは、とにかく日本人に似合う服だということ。襟付き、腰丈のコートというバランスが、日本人に実にしっくりくるなぁと……。僕は通勤途中で、新橋や品川に通うビジネスマンの方をよく観察しているんですが、ラベンハムの着用率というのはとても高いんですね。日本のビジネスマンのスタイルを品良く見せてくれて、なおかつ大人っぽく、スタイルのある男性が着ている。そんなアウターだなと感じています」

確かにビジネシシーンでの着用率の高いラベンハム。しかし、イギリス発祥のブランドなのに、一体なぜ日本人に似合うのか、豊永さんはこう分析します。「ヨーロッパや英国に出掛けたとき、地元の方が着ているツイードのコートがカッコいいなと思うのは、やっぱりその気候や街の風景にマッチしているからだと思うんです。東京であれば、アスファルトやコンクリートのグレーが目立つので、ポリエステル生地の都会的な軽快さ、体型的なバランスにおける腰丈というレングスが、一番マッチしているからかもしれません。また、皆さん電車通勤が基本なので、そのなかで機能的でスマートに見えるというのもポイントだと思います」。

ビジネスマンからも支持が厚いユナイテッドアローズなので、同店でもラベンハムは90年代から常に注目されているそうです。現在の人気がどのように変化しているのか、お話をうかがいました。「実は流行れども廃れることなく、シーズンを問わず売れ続けているラベンハムの秋冬アウターは、冬のセールの時期になってもそのまま継続販売されているんです。タイムレスでシーズンレスという部分が強くお客様に支持されているので、新作であることはそこまで重要視されていません。だったら新しいものは要らないじゃないかと思われるかもしれませんが、やっぱり春になったら春らしい色が着たくなるのが、洋服好きとしての性(さが)ですよね(笑)。手持ちのものでも、色を変えるだけで気分はアガりますし」。

エレガントでタイムレス、なのにトレンディ

そこで今季ユナイテッドアローズが別注を行ったのが、[ALDHAM(アルドハム)]という腰丈のコート。あえてブランドの象徴とも言えるダイヤモンドキルトを、シェルではなく着脱式のライナーに取り入れ、ライトでシャープな面構えを強調しています。

「春夏ということもあり、目に見える部分にダイヤモンドキルトがないことに、抵抗はありませんでした。スラントのパッチポケットにコーデュロイの襟やパイピングという腰丈コートなら、遠目に見てもラベンハムだと分かります。キルティングのシェルでなくても、です。春夏でラベンハムを別注するというのは過去に例がないくらい珍しいことなので、せっかく新しいことにトライするなら、象徴的な”デザイン”と”色”だけで見ていただくのがベストだと考えました」

「すでにラベンハムを着てくださっているお客様が、思わず着替えてみたくなるような“春らしい色”を意識しました。安心の黒もありますが(笑)。寒くなったら温かみのあるモノが自然と欲しくなる秋冬とは違って、春夏のお買い物動機をくすぐるのはかなり難しい。そこで、まず綺麗な色で『なんだろう?』と注意を引き、手に取ってみたらラベンハムだったという意外性に驚きを感じていただきたいと思いました。最後により詳しく商品を見ていただくと、着脱可能なダイヤモンドキルトのライニングというアイコン性や機能性に、『なるほど!」と納得していただけるという狙いです』

落ち着いたテラコッタに、ベーシックなブラックなどもあるなかで、豊永さんが特にこだわったのがアイボリーカラー。ここにもユナイテッドアローズらしいこだわりがあるそうです。

「このアイボリーを引き立たせる色合わせと配色を、とことん追求しました。コントラストが強すぎたら奇抜になってしまうし、逆に弱すぎても引き立ちません。トープ(モグラ色)というのはUAで本当によく使われる色で、スーツでもニットでも、毎シーズンのようにご提案しています。英国のクラシックカーからインスパイアされたのですが、アイボリーとトープという色合わせは、とてもエレガントでタイムレス。それと同時に、この春夏に我々がご提案したい色にピッタリだったんです。普遍的なのにトレンディで、かつ英国的でもある。クラシックなのに、新しい。我ながら素晴らしい出来だと思っています(笑)」

ラベンハムでなければ、このチャレンジは成立しない

では、この”ニュークラシックな”1着を、どのように取り入れればいいのか、豊永さんに教えていただきました。
「実際に着るとなると、特に明るい色目は『カジュアル向けかな?』と思われると思います。でも今季のユナイテッドアローズではベージュやブラウン系のスーツ、ジャケットを数多くご提案しています。そういうものと合わせてご着用いただければ、柔らかめのビジネスシーンにも対応できますし、すごくカッコいい。お客様のスタイルに合わせて、オンでもオフでも自由に着まわしていただきたいですね。カジュアルに着こなすなら、例えばカルーゾのチェックジャケットなどはいかがでしょうか。イタリアらしいナチュラルなコンストラクションのテーラードに英国ブランドのアウターという合わせは、鴨志田(康人 / ユナイテッドアローズ クリエイティブ・ディレクター)の時代から受け継がれる伝統のスタイル。ここにシャツ&タイではなく、コットンのタートルネックを潜ませ、足元はスニーカーというのも素敵です。あるいはライラック色のコットンセーターに、ブラウンパンツ、そして改めて気になる定番のニューバランス。よりスポーティーに、キャップをかぶっていただいても面白いと思います」

こうした色味にチャレンジするに際し、豊永さんがポイントとして考えたのが、ラベンハムというブランドが培ってきた歴史と信頼が重要だったと言います。
「やっぱり安心と安定、信頼感のあるブランドじゃないと、様々な人が受け入れにくい明るい色を駆使した取り組みは難しい。ラベンハムには、定番ではない色も着てみようかな、と思わせるだけの安心感があるんです。お客様があまりよく知らないブランドでこの価格帯だったら、きっと二の足を踏んでしまいます。正直ラベンハムくらいじゃないと、このようなチャレンジはできないんです。やっぱりラベンハムは日本のファッションに欠かせません(笑)。来秋冬に向けてもカッコいいモデルを仕込んでいる最中ですので、楽しみにお待ちいただけると大変ありがたいですね」