MY LAVENHAM STORY – その1<br> スタイリスト 丸山晃さん

MY LAVENHAM STORY – その1
スタイリスト 丸山晃さん

MY LAVENHAM STORY – その1<br> スタイリスト 丸山晃さん

LAVENHAMのことをよく知る人に話を聞く、「MY LAVENHAM STORY」の第一回は、2016年AWシーズンビジュアルのスタイリングも手がけてもらったスタイリストの丸山晃さんです。ブリティッシュ・ファッションだけでなくロンドンのユースカルチャーにも精通している丸山さんはLAVENHAMをどう見ているのか、LAVENHAMが数多く並ぶ、「ブリティシュメイド」のお店で話を伺いました。

丸山さんはいつ頃LAVENHAMの存在を知りましたか?

「僕が高校生の頃にモッズ、パンク、アイビーといったイギリスのユースカルチャーがブームになった時代があるんですね。その頃に雑誌で“アイビールック”の特集をしていて、そこで『LAVENHAMのキルティングコートが今のモッズの間ではクール!』みたいな記事を見たんです。おそらく最初はそれで知ったと思います。すでにその頃にはパンクやモッズのオーセンティックな知識はあったんですけど、そういう捻った知識というかは持っていなくて。『LAVENHAMって何?』から始まりました。後から調べたら、確かに70年代のモッズって、だいたいモッズコートを着ているんですけど、ちょっとイカしたやつはLAVENHAMのコートを着ているんですよ。おそらくその雑誌でやっていたのは、そういうところだったと思うんですけど、のちのち自分で調べて、なるほどねと思った記憶があります」

高校生でそこまでブリティッシュ・ファッションを知っているというのも珍しいですよね。ちなみに当時はどんな服装をされていたのですか?

「もうエセパンク野郎ですよ(笑)。今から考えると恥ずかしいですけど、DCブランドの服に[セディショナリーズ]を合わせたりしてました。で、卒業して東京に来て、LONDON NITE(※1980年にスタートした伝説のクラブイベント)に行ったんですけど、声かけた女の子に『そういうスタイルはダサい』と言われて、帰り道で着ていた服を捨てて帰ったという(笑)」

当時LAVENHAMは着ていましたか?

「いや、買わなかったというか、買えなかったんですよね。当時の僕には高くて手が出なくて」

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なるほど。では、今になって丸山さんが思うLAVENHAMの良さは、どういうところだと思われますか?

「こういうところが僕の好きなイギリスのブランドらしいと思うのは、例えばLAVENHAMも、イギリスの冬の寒い気候に合わせて、もっと中綿を沢山入れたものを作れば、保温の機能はもっと上がると思うんです。でも、そこをあえてやらないところにイギリス人独特の美学があるというか。機能性はもちろん欲しいけど、やっぱり“グッドルッキン”を求めているんですよね。機能性を求めるなら、例えばアウトドアブランドのスペックの高いダウンとかって話になりますけど、そこにスタイリッシュさを求めて、モコモコした感じは嫌だから、中綿はこれくらいでいいということなんでしょうね。イギリスってそういうの多いじゃないですか? だからスーツの生地もハリスツイードの厚手のものがあったりするわけで。アウターだけに機能を求めるんじゃなくて、全体を通して温める発想なんですよね。ツイードのジャケット着て、ガンジーニットを着て、最後にLAVENHAMのコートを着る。そういうところがイギリスっぽい。アメリカだったら同じ温度にするのに、Tシャツの上にダウン着て暖かい、みたいなところだと思うんですよ」

確かにアメリカの場合はもっと合理的ですよね。

「昔だけじゃなくて、今のロンドンもそうですよね。ローテクなものがカッコいいというか、そういうイギリス人ならではのアナログ感というか、そこに美意識を持っていますよね」

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今、丸山さんがLAVENHAMをスタイリングするなら、どんなコーディネートを考えますか?

「2方向あるんですよね。ひとつはトラディショナルにLAVENHAMらしく着ること。例えば誰かの結婚式にスーツで行って、上に何を着るかといったらLAVENHAMっていう選択肢はありますよね。もっとカジュアルダウンするなら、ボタンダウンシャツに、ガンジーニットに、ハリスツイードのスーツにLAVENHAMのジャケットとか。あともうひとつは、ちょっとユース感のあるスタイリングです。ロンドンの“チャヴ”と呼ばれる労働者階級の不良な感じのやつらが、高級ブランドのコートを着こなしてたりしていて、ずっとブランド側からは問題視されていたんですが(笑)、今になってそのスタイルをブランド側もルックに取り入れたりしています。それと同じようにLAVENHAMもトラックジャケットの上下に合わせちゃうみたいスタイルは提案してみたいですね。そうすれば同じものが全然違うものに見えると思うんですよね。かたや大人の愛するLAVENHAMスタイル、もうひとつはもっと若い子が背伸びして着るスタイル」

それはやっぱりLAVENHAMがオーセンティックな立ち位置があるから成立するわけですよね。

「そうですね、アイコニックな存在だからこそだと思います」

仮に“丸山モデル”のLAVENHAMを作るとしたら?

「いや、もう普通でいいですよ。ハーフ丈の、タイトでもなく太くもなく、一番オーセンティックな形でいいですよ。原型をいじったものって、結局長年経つと魅力的に感じなくなってしまうものなので」