20年の時を超えて、あえて昔のラベンハムに目を向けた、EEL Products(イール プロダクツ)のコラボレーションモデル。

20年の時を超えて、あえて昔のラベンハムに目を向けた、EEL Products(イール プロダクツ)のコラボレーションモデル。

20年の時を超えて、あえて昔のラベンハムに目を向けた、EEL Products(イール プロダクツ)のコラボレーションモデル。

東京・中目黒に直営店を構える日本のメンズブランド[EEL Products(イール プロダクツ)]が、初となるラベンハムとのコラボレーションモデルを発表しました。同ブランドが指定したのは、現在とは少しシルエットも違う、かつてのラベンハムのモデルの復刻アレンジ。本モデルの仕掛け人である[EEL Products]のディレクター、澁谷文伸さんにお話を聞きました。

 

買いたくても買えなかったラベンハム

カジュアルからトラッドまでを幅広くカバーし、ベーシックなモノづくりを続けているブランド[EEL Products]のディレクターである澁谷文伸さんには、現在の仕事に繋がるラベンハムとのエピソードがあるそうです。

「今から20年前、僕が学生だった時代に街でラベンハムを着ている人を見て、格好いいなと思ってすごく欲しくなったんです。いま思えばおそらく当時は、スーツの上にドレスダウンして着るような提案があった中で、それをカジュアルに着こなしている人を見ていたんですね。それで当時渋谷の高架下にあった『SHIPS(シップス)』のお店に行きました。お店で試着してみて、実際に格好良かったんですが、確か当時で3万円くらいの価格でした。欲しくて買いに行ったのに、学生でお金もなかったので、結局もっと安い、ラベンハムじゃないブランドのものを買ってしまったんです。それがいまだに心残りで(笑)」

澁谷さんのラベンハムとの話はこれで終わりません。

「当時のアパレルの店員さんって格好良かったし、僕もファッションの仕事をしたいと思っていました。で、そのラベンハムを買いに行って買わなかった時に、お店にスタッフ募集の張り紙を見つけて、僕はそこからシップスに入社したんです。だからラベンハムを買いに行かなければ、今の仕事をしていないかもしれないという」

ひょっとしてラベンハムは澁谷さんの人生すら変えてしまったかもしれないというお話ですが、その後[EEL Products]に移籍した澁谷さんは、営業としてこのブランドに携わってきました。ブランド設立から15年経った2018年、立ち上げからデザイナーを務めていた高橋寛治さんがブランドのプロデューサー的な立場になったことから、澁谷さんがディレクターになったことで今回のコラボレーションは生まれています。

「ありがたいことに地方のセレクトショップさんや、長いお付き合いのお客様に支えられて、定番的な商品も増えてきたので、今の僕はそれをベースに素材替えやアレンジをすることに集中できています。その中で15年の節目にラベンハムさんの方からお話をいただいて、20年越しにダブルネームができることになったので興奮したんです」

ところが、別注のベースモデルを決めるために実際に最新のラベンハムを見に行ったところ、そのデザインがかつてと変わっていたことに気づいたそうです。そのくだりは[EEL Products]のブログにも詳しく書かれています。

「最新のラインナップを拝見すると、僕が20年前に買えなかったあのモデルのようなものがなかったんです。いまの[デンハム]などもそれはそれで格好いいのですが、僕のイメージの中ではちょっと違ったので、『もっとアームホールが太いの無かったでしたっけ?』 と聞いたところ、日本の代理店の方が奥の方から出してきてくれたのが[ミルデン]というモデルでした」

ここ何年も店頭には出ておらず、コラボレーションモデルのオファーもなかった[ミルデン]でしたが、かつての記憶もあり、やはりこのモデルで別注をしたいと澁谷さんは考えたそうです。

「実際に[ミルデン]のサンプルを着てみたら、当時は全く問題なかったと思うのですが、丈感が少し長く感じたんですね。思い入れはあるとは言え、昔と全く同じものを作っても仕方ないと思ったので、丈を6.5センチ(36サイズ)短くしました。あとはコーデュロイの襟の形や大きさも同じですし、パイピングも今のモデルはコーデュロイのものが多いと思うのですが、[ミルデン]はナイロンで、それも良い意味でのチープ感がいいなと思ったので残しました。あとはボタンも今のラベンハムの多くのモデルはプラスティックボタンですが、それも無理を言ってブラスボタンにしてもらっています」

かつてのモデルの良さを残しつつ、ディティールにまでこだわって出来上がった今回の別注モデルは最近になって[EEL Products]の店頭に並び、お店でも徐々に反応を得ているそうですが、改めて澁谷さんは、今回のモデルを手がけた想いがあると言います。

「あの頃なぜ僕がラベンハムに惹かれたかというと、イギリスものにパワーのあるものが多かったというのと、ブラーやオアシスなどのUKロックの影響も大きかったと思うんです。それで今こうして洋服の仕事をしている中で、またイギリスのものが気になり出して来たから別注も実現しているのですが、残念ながら20代くらいの方にはラベンハムの名前は浸透していないように感じます。僕みたいにキルティングジャケットのオリジナルはラベンハムだと知りつつ買えなかったのならいいですが(笑)、それを知らずに別のモデルを買ってしまうのはもったいないなと思います。だから今回のコラボレーションでも、そういったことを[EEL Products]のお客様にも伝えていきたいなと思っています」