LAVENHAMのコラボレーション その3 <br>COMOLI 小森啓二郎さん<br>「なぜ道具だったものに袖が付いて服になったのか、その進化に惹かれました」

LAVENHAMのコラボレーション その3
COMOLI 小森啓二郎さん
「なぜ道具だったものに袖が付いて服になったのか、その進化に惹かれました」

LAVENHAMのコラボレーション その3 <br>COMOLI 小森啓二郎さん<br>「なぜ道具だったものに袖が付いて服になったのか、その進化に惹かれました」

ラベンハムは厳選したブランドとのコラボレーションを展開しています。2017年AWシーズンは、近年の日本ブランドの中でも注目が高まっている[COMOLI(コモリ)]とのプロダクトが登場しました。今回はデザイナーの小森啓二郎さんにお話をうかがいました。

“原点のブランド”としか作れないものがあった

常々「自分が着たい服しか作れない」と語っている[コモリ]のデザイナー、小森啓二郎さん。その小森さんの誠実な姿勢が生み出すプロダクトに共感する人が増え続け、現在の人気に繋がっています。今回ラベンハムとのコラボレーションは初めて。通常コラボレーションというと数型、数色を手がけることも多いのですが、今回のコラボレーションで生まれたのは、たった1型、黒の1色のみ。そんな部分にも[コモリ]の誠実でストイックな姿勢が表れています。

「自分がかつてのように会社勤めでデザインをしていたら、何色か作ったかもしれません。でも、そういうことをしたくないから自分のブランドをつくったわけで。だから今回も自分が着たいと思ったのはこの黒1色だけです。当たり前の話ですが、僕は自分が見て、すでに世の中にあるなと思ったものは作らないようにしています。でも今回のラベンハムのように、歴史もあって、その生地や縫製がないと出来上がらないものは自分では作れないし、そのメーカーに自分がやりたい形を作ってもらえるのはすごく魅力的です。もちろんキルティングジャケットは比較的簡単に作れますよ。でも、キルティングの元祖というか、原点のブランドにやってもらうことに面白みがあると思っています」。

小森さんは、ラベンハムがキルティングジャケットのオリジンであることを理解しながら、さらにその原点にまで遡って考えをめぐらせたといいます。「ブランドについて調べると、馬を温める馬具としてが発祥で、そういう意味では『もともと“道具”だったんだよな』、と思うと、何故そこから袖がついて、服になったのかなと、そういう物の進化の仕方に惹かれるんです」。

「当時の“道具っぽいものから服になっていく途中段階”みたいなものを作りたくなった」

そのルーツまで思いを巡らせた上で、小森さんが今回のコラボレーションで作りたいものは決まっていったと言います。「ラベンハムの創設者の人がどういう方なのかわからないですけど、きっと思っていたのと全然違う方向に行ったんだろうな、と思った時に、当時の“道具っぽいものから服になっていく途中段階”みたいなものを作りたくなったんです。それは今のラベンハムのメインコレクションの中にもなかったから」。

今回のプロダクトの特徴は、ビッグシルエットのサイズ感のロングコートタイプで、通常のラベンハムは使っている生地とは異なる、目が荒くハリのある生地を使用している点。「まるで当時のイギリス現地の人が作ったような、荒削りな感じが好きなんです。今回のフォルムパターンはうち([コモリ])で引いているんですけど、ミシンの入り方やフードの“T字”になる形はできるだけインラインにあったものと同様にしようと思いました。だからたぶん本国の工場の人は、これが自分たちのパターンなのか、他社のパターンなのか、一瞬わからなかったと思います。それが逆に面白いのかなと思うし、個人的にはこういうものって、元をそんなに変えずに現代に落としこむやり方の方がグッときますね」。

しかし原型に近づくほど、オリジナリティは薄れる。そのギリギリの部分でのせめぎ合いこそが、[コモリ]の服の魅力と言えます。「もちろんスタンダードなものは魅力です。でも僕の場合、自分が欲しいと思うスタンダードがないので、自分にとってのスタンダードを作っているんだと思います」。実際今回のイギリスのラベンハムの工場から、面白いエピソードが聞こえてきたそうです。「身長が190センチくらいある現地の工場の人が、『俺が着れるようなサイズのこんな服を作っていいのか?』と言っていたみたいですよ(笑)」。

目指したのは「ビジネスでは使えない」ラベンハム?

また、今回のコラボレーションでも特徴的なのが素材です。あえて肉厚のナイロン生地を使うことで、独特の表情が生まれています。「イメージにあったのは、アメリカの作業着屋さんに置いてあるようなワークウェア。なので、まるでレジャーシートみたいな硬さにしています。だからかなり撥水性があります。先日これを着て海外出張にも行ったのですが、土砂降りの中でも撥水してくれました。ただ、素材が硬くて、折ってもすぐに元に戻るので、かさばるし、決して他のラベンハムのように、“ビジネス用”としては使えないと思いますね(笑)」。

あらゆる面で[コモリ]らしいデザイン哲学を取り入れた今回のモデルですが、デザインプロセスの中でひとつだけ嬉しい誤算があったと小森さんは言います。「あえて“作業着”っぽくするために、本当はLAVENHAMというタグではなく、洗濯表記のみのラベルにしようと思ったんです。でもそれはイギリスの方から却下されて。で、結果的にダブルネームのタグになったのですが、結果的にこれがとても良かった。買った人もこのタグで気持ちを高揚してもらえる部分は出たような気がしています」。

2017年AWシーズンですでに好評を博している今回のコラボレーションモデルですが、次のシーズンもほぼ同じ形で継続が決まっているそうです。「もちろん“次は”という話になるのですが、そうそう新しいデザインは出て来ないんですよ。なので、基本的にこのままの状態で継続させてもらいます。ただ、スナップボタンの部分をシルバーにしてみたらとても良かったので、唯一ボタンの部分だけをシルバーにしてもらっています。つまりシーズン2はボタンが変わるだけです。もちろんいずれ新しいアイデアが自分の中に出てきたら、違う形もお願いするかもしれませんが、あくまでも自分が着る側として純粋に気持ちが上がるようなデザインが出てきたときにお願いしたいですね」。