LAVENHAMのコラボレーション その2 <br>MINOTAUR 泉栄一さん<br>「ラベンハムの伝統という“制約”を活かしながら、現代の機能を追求しました」

LAVENHAMのコラボレーション その2
MINOTAUR 泉栄一さん
「ラベンハムの伝統という“制約”を活かしながら、現代の機能を追求しました」

LAVENHAMのコラボレーション その2 <br>MINOTAUR 泉栄一さん<br>「ラベンハムの伝統という“制約”を活かしながら、現代の機能を追求しました」

ラベンハムは厳選したブランドとのコラボレーションを展開しています。2017年AWシーズンは、国内はもとより海外からの注目度の高い東京のファッションブランド[MINOTAUR(ミノトール)]とのプロダクトが登場しました。今回はデザイナーの泉栄一さんにお話をうかがいました。

「自分が着たい機能」を具現化するブランド

今回ラベンハムと初めてコラボレーションを行った[ミノトール]は、2017年で設立15年目を迎えた日本ブランド。機能美を追求したデザインは、国内はもとより特に欧米での人気が高いことでも知られています。メインブランドの[ミノトール]、コラボレーションレーベルの[M.U.G(ミノトール アーバン ギア)]があり、中目黒には両ブランドの直営店が1店舗ずつ存在しています。今回M.U.Gの店内でお話をうかがったミノトールのディレクターであり代表の泉栄一さんは、インポートのバイヤーを経て、2004年に自身のブランドを設立しました。

ミノトールのディレクターで、有限会社ファントの代表取締役、泉栄一さん。

ミノトールのディレクターで、有限会社ファントの代表取締役、泉栄一さん。

「直営店にいらっしゃるのは30代から60代までと幅広く、パリで展示会をやっていることも影響していると思いますが、そのうち欧米の方が約3割です。海外から(中目黒エリアの)こんなわかりにくい場所までよく来ていただけるなあと思いますが、そこは海外の人が日本のファッションブランドに求める“機能的な部分”を評価いただいている気がしています。あまり近所の人は知らないけれど、世界中一握りの人に知られているブランドというのは、どこかクラブミュージックみたいな存在に近いのかなと、自分でも面白いと思っているのですが」

ラベンハムのことは、九州でインポートバイヤーをやっていた25〜30年前に「キルティングジャケットといえば、ラベンハムと、ごく自然な流れで存在を知った」という泉さん。実は今回のコラボレーションをする以前に[ミノトール]では、ラベンハムをイメージしたプロダクトをオリジナルで作っていたそうです。「でも、コラボレーションでご一緒することは想定していなかったので、『もしラベンハムをミノトール風に作ったら』というアイテムを勝手に作っていたんです(笑)。僕が作るものは、基本的に“自分が着たいもの”。僕は普段あまり物を持ちたくないのと、マフラーもしないので、襟の部分までジップで上げられるデザインのキルティングジャケットを作っていて、今回のコラボレーションでもそれが原型になっています」。

「もしラベンハムをミノトール風に作ったら」が現実に

ラベンハムからコラボレーションの話が来たのは2016年の秋のこと。日本の総代理店がきっかけとなり、イギリス本国のディレクターも来日してミーティング行ったということです。「お話をいただいて考えたのは、ラベンハムのクラシックさを活かしながら、どうやって現代的にアレンジするか。僕の世代はいろんなブランドのオリジナルを知っているので、ルーツの良さを活かしながらいかにリミックスするかを長年やってきた世代でもあります。そこで今回は素材と技法はラベンハムのものを活かし、ディティール部分を現代的にすることを目指しました。伝統的な良さというのはある種の“制約”でもあるのですが、その制約を活かしながら現代的にするのは、僕が得意とする手法で、好きな手法でもあるんです」。

今回コラボレーションして完成したのは、フーデッドコートとテイラードタイプのジップジャケットの2型。「テイラードジャケットの方は、ブランドのオリジンがイギリスということもあり、なるべくフォーマルな形にしたいと思いました。過去にラベンハムのアーカイブにあったテイラードタイプのものを作ったことがあるということで、その形を活かしつつ、ボタンの部分をジップにすることで、スポーティさを取り入れました。ジップの開閉の調節によって、2つボタン風に見せる着方、ジップを上まで閉める着方、そしてジップを閉めて襟を立てる“3way”にしています。2つボタン風にすれば仕事の打ち合わせも行けるし、自転車に乗る時などはジップを上まで上げて風を遮ることもできるようになっています。ポケットもラベンハムのクラシックなものは上から手を入れるタイプですが、縦と横の両方向から入れるようにして機能性を向上させています」。

ラベンハムとミノトールの共通点

泉さんが今回コラボレーションしたモデルを実際に着用してわかったのは、ラベンハムのテイラードのパターンの優秀さだと言います。「僕は機能性重視で、最近はストレッチの効いた生地で作ることが多いのですが、今回のラベンハムのキルティングは伸縮しません。でも、着てみると分かるんですが、ストレッチがないのに、肩の動きなどにまったくストレスがないんです。この辺のテイラード技術の完成度が、さすがイギリスだなと思いました」

[ミノトール]において泉さんが目指しているのは、「長く着られること」そして、「ブランドが長く続くこと」だと言います。「もちろん売れることは嬉しいですけど、それが目的にならないようにしたいと思っています。それはファッションのサイクルでものづくりをしているというより、クルマがマイナーチェンジするデザインの感覚に近いかもしれません。だから毎シーズン新しいものを作るのではなく、常に同じものをアップデートするようにしているんです。そういうところはラベンハムの姿勢にも近いものがあると思いますし、今後も継続してご一緒できればと思っています」。